宅老所

「はじめのいっぽ」利用者のコメント

宅老所

家内が(アルツハイマー型)認知症に罹っている事が分かったのを知った時は、まだ家内も若く、この病気の罹患は他人事のように思っていたので、大変なショックだった。
まさかと言う感じでお先真っ暗になった。

◇◇◇

(介護サービスを受ける前)暫くはこちらが家内の面倒を見たが、こちらも仕事を持っており、仕事現役中でもあったため、四六時中面倒を見る事はちょっとしんどかった。

そんな時、「はじめのいっぽ」がデイサービス提供事業所として紹介された。
今にして思えば、私どもは大変ラッキーでした。

家内と言う認知症患者の取り扱いには私には2つの大きな関門があった。
ひとつはその病気確認のため、どの病院へ連れて行ったら良いか、どのようにして連れて行ったら良いかと言う事。

当時認知症に関する知識がなく(相談先として精神科しか思いつかなかった)、家内を精神科へ如何に(大義名分を付けて)連れて行く事ができるかとしか頭になかった。
当然「私は馬鹿ではない」と言う家内からの大きな抵抗にあうとかが想定された。

考えた末結局、「高齢になると(頭の)健康診断は法律で義務になったよ。だから私も一緒に見てもらうのだから行こう」とかの理由を付けて、近くの精神科クリニックに連れて行った。
その時は家内には「精神科」の看板が見えないようにそれを自分の身体で隠しながら、家内をクリニックに入れた。

その次の関門は如何にして家内をデイサービス事業所へ連れて行けるかと言う事だった。
私には「まだアホじゃない。何でこんなところに来なければならないの」と言う家内からの抵抗が想定された。

その点、「はじめのいっぽ」は民家という佇まい。派手な施設に見えない。家庭的な雰囲気。これが大変良かった。

他のデイサービス事業所の送迎車は施設のPR、派手な字で書いている。
当然施設としては自社の宣伝も必要だろう。しかし、中に乗っているのは、皆患者。だから、彼らに可哀想だ。
皆、好きで病気になったんじゃない。もっとも口悪く言えば、「彼らは良いんだ。ボケてるから。」とかそんな事気にする必要はないと人は言うかもしれないが。

◇◇◇

これら2つの関門を何とかすぎた。身内でも粗相があれば、腹が立つ。それが、血のつながりのないはじめのいっぽのスタッフの献身度。正に「利他」の精神。
中々他人にできる事ではない。大変感謝している。

家内もいつ頃からか、介護スタッフの人達を「先生」とか「先輩」と呼ぶようになった。
これは介護をしてくれる人達への正に感謝の率直な表れだと思っている。長たらしい美辞麗句よりこの2言がすべてを言い表わせている。

事業所に家内を引き取りに行く時には、家内は私に「ここにいる人達、本当にいい人だよ」と自分からいつも言って出て来る。
大変ありがたい事です。今では家内は喜んで、こんな感謝の気持ちで帰宅しています。

◇◇◇

家でも家内が「迷惑かけるね」、「ごめんね」とよく私に口にする。
大変迷惑をかけていると言う事を本人も記憶が退化してきているのにも関わらず自覚しているようだ。

こちらは、「高齢になるといつかは誰でも誰かの世話になる。それは時間の問題。元気な方が相手を助けるんだ。お互い様だ。」と言う。
それを家内が聞いて安心しているようだ。いつも同じ言葉の反復だが。患者はいつも恐怖と不安を持っている。その辛さを共有、理解する必要があるのだろう。

入所当時は要介護1だった。残念ながら、今では要介護2になった。しかし、時として、怒りっぽかった性格が今では大変温和になった。情緒安定してきている。ありがたい。

家内も寝る前は感謝の気持ちで就寝している。だから、人生で今が一番いい時期ではないかと逆に思う事があるぐらい。

◇◇◇

唯、認知の程度は段々落ちてきている。そのため、手間がどんどん増えて来る。
服すら自分で着れない。トイレにもついていかないと心配だ。

しかし、家内は徐々に赤ちゃんに戻ってきているんだと思えばいい。その世話が出来れば幸せだと。

そう言えば、昔、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』と言う映画があった。
その映画は見ていないが、人が80歳で生まれ、赤ちゃんに逆回りして死んでいくという内容だった。
手間がかかっていやになる時があるが、赤ちゃんって可愛いものだ。

◇◇◇

手間がかかる時、死と比較する。家内が死んでいない方がいいか、手間がかかっても生きていてもらった方が良いかと自問自答する。

勿論、生きていてもらった方が良いと思う。今生きているではないか。じゃ、幸せじゃないかと。

◇◇◇

本当に「はじめのいっぽ」と言う事業所に巡り会えたことに感謝している。
こんな幸運、他の同じような境遇にある方、「はじめのいっぽ」を心より推薦致します。
経験してよかった事は共有したいと思います。

渡辺 一央(男、76歳)

タップして電話