宅老所,デイサービス,はじめのいっぽ

はじめのいっぽ 『介護ばなし』

宅老所,デイサービス,はじめのいっぽ

 はじめのいっぽでは、毎月ご家族に向けた家族通信を発行しています。家族通信にはご家族といっぽをつなぐ役割があります。いっぽにはどのような利用者がいて、どんな日常を過ごしているか、また様々な介護方法やお役立ち情報なども発信しています。そして日々介護で忙しいご家族に、ふっと力を抜いて頂き、少しでもお役に立てればという思いで、開所以来、ずっと毎月発行しています。メインコーナーの「介護ばなし」はいっぽの日常や理念、信念が感じて頂けるような内容となっています。そんな「介護ばなし」を抜粋してブログに掲載し、ご家族だけでなく、これから利用してみようかな、と思う方や、介護に興味がある方等、様々な方に読んで頂ければ幸いです。まあ、手前みそな部分もあるかと思いますが(笑)お付き合いくださいませ。

《はじめのいっぽ介護ばなし》  ~おわりのはじまり~
 Aさん(86歳)は1年前まで“ベッドとお友達”の生活を送っていたという。若い頃は多趣味で色々と外へ出ることも多かったのだが、病気をきっかけに、だんだんと家へ閉じこもるようになり、1日中ゴロゴロと寝て過ごすような状態になったという。「昔は何でもやったのよ。でもこの頃は手が上手く動かないから」と話すAさん。その表情には昔を懐かしむ様子があった。
 ある日の昼食時、Aさんが「今日は疲れた」と言う。どうしたのかと尋ねると「だって、今日はキャベツ切ったんだよ。キャベツなんて久しぶりに切ったわ~。私が切ったのが味噌汁に入ってるからね」と得意げな表情だ。そして、「1年前までベッドとお友達だったのに、自分でもすごいと思う。ここに来る以上は色々なことにチャレンジしないとね」と。  Aさんの気持ちの強さに驚いた。そして嬉しかった。味噌汁は、いつもの何倍も美味しく感じた。
 世間では、「動けなくなったり、ボケたら終わりよね」と聞くことも多い。しかし、現実はそうではない。そうなってから、先の見えない介護が始まる。つまり、「終わり」ではなく、「始まり」なのだ。でも、「始まった」からこそ、はじめのいっぽは利用者の皆様と出会うことが出来る。そして、私達はその方と新たな人生を歩むことができるのだ。皆が皆、Aさんのようにプラス思考であるわけではないだろうが、Aさんのようなたくさんの笑顔に出会い、自分に自信を取り戻してもらえるような介護をしたいと思っている。「終わり」ではなく「始まり」だ。新しく始まった人生を、周りの支えを受けながらどう生きるか、それが一番重要だということをいっぽの利用者とご家族から教えられる毎日だ。

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